歯列矯正とは何か(4)〔不正咬合の種類〕。
前述のとおり、不正咬合(ふせいこうごう)とは、歯並びや噛み合わせが悪いという状態を、総称的に指すものです。
遺伝的・先天的な理由、ないし乳児期の虫歯や指しゃぶりなどの後天的理由がその原因とされています。
一般的には、「八重歯」「出っ歯」「乱ぐい歯」などがイメージされる状態です。
審美的な問題から、多感な少年期においては、歯並びを見せたくないことから性格が内向的となったり、口数が少なくなったりするという心療上の問題も起こる可能性があります。
ちなみに欧米では、不正咬合が比較的多く見られることから、少年期までに歯並びを整えてあげることこそ親のつとめ、とされているようです。
また、成長期においては、食べ物の咀嚼がきちんとできないことからくる、栄養面・胃腸系の問題や、
虫歯の発生なども起きやすくなると言われます。
不正咬合は、具体的には、以下のような様々な種類があります。
・叢生(そうせい)
八重歯に代表される、雑然とした歯並び、乱ぐい歯を指します。
歯の大きさに比べてあごが小さい場合や、乳歯の奥歯を早い時期に失った場合に起こります。
・捻転歯(ねんてんし)
あごの中で永久歯ができる方向が悪かったり、歯がねじれて生えてきたような状態を指します。
・上顎前突(じょうがくぜんとつ)、上下顎前突(じょうかがくぜんとつ)
いわゆる出っ歯を指します。
上あごの成長が良すぎたり、指しゃぶりなどの悪習慣によって唇のまわりの筋肉の発達が悪くなって、なる場合もあります。
上顎前突は、上あごの歯だけが前に出ている状態ですが、下あごの位置に問題が無くて上あごの歯が前に出ている状態か、上あごの位置に問題が無くて下あごの歯が奥に引っ込んでいるため出っ歯に
見える状態の、二種類があります。
・反対咬合(はんたいこうごう)、下顎前突(かがくぜんとつ)
上下の前歯のかぶさりが逆になっていて、下あごのほうが前に出ている噛み合わせを指します。
口もとも曲がり、あごの関節に問題がおきたり顔もゆがんできたりする恐れがあることから、早い時期の歯列矯正治療が必要される不正咬合のひとつです。
・開咬(かいこう)
奥歯の1、2本だけが噛み合い、前のほうの歯は噛み合わさらない状態を指します。
とりわけ小児・子供において、指しゃぶりや、舌を噛む癖などの悪習慣が続いた場合、奥歯でしか
噛むことができなくなります。
適切な時期に治療を始めないと、あご自体の成長にも、問題が起こってきます。
・顎変形症(がくへんけいしょう)
あごの骨自体の変形を指し、そのため歯の噛み合わせも異常になるものです。特に下あごに
多くみられます。
治療としては、あごを切る外科的な手術と、歯列矯正が必要になります。
・埋伏歯(まいふくし)
歯が生える時期を過ぎているのにかかわらず、歯が生えてこない場合を指します。
あごの骨において永久歯の芽ができる位置や方向が悪いために起こりますが、適切な時期に引っ張り出し、正常な位置へと誘導する必要があります。
・空隙歯列(くうげきしれつ)
俗にいう「すき歯」で、歯と歯の間がぴったりつかずに、すき間がたくさん残っている状態です。
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