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成人の歯列矯正と、その注意点。
歯列矯正は、成人となってからでも、または矯正治療を妨げるような歯の疾患がない限りは、たとえ
高齢者であっても、治療が可能です。
成人の歯列矯正は、もちろん虫歯・歯周病の予防などの医療・健康上の理由から行う場合もありますが、歯列矯正とは何か(2)〔審美性・歯列チェック方法〕。で記したとおり、歯の審美性・美しい歯並びの実現という美容への関心から行う場合が、相当に多いのが現状です。
この場合、
・治療には数年という長い期間を要する場合が多いこと、
・完全に審美的な目的で治療する場合には、健康保険の利用や医療費控除が難しいこと、
・症例によっては、あごの骨の手術なども併用しなければならないこと、
なども考え合わせた上で、検討していかなければなりません。
そもそも、自分が矯正治療を受けて問題がないのか、という点におけるチェックも必要です。
現在、重度の歯周病にかかっている場合、歯の治療中で大きなブリッジが入っている場合、そして矯正治療で歯の炎症が悪化する可能性が認められた場合などは、歯列矯正治療そのものをあきらめなければならないケースがあります。
高齢者で骨粗鬆症(こつそしょうしょう)にかかっている場合も、骨からカルシウムが溶け出すことで
新しい骨ができにくくなり、移動した歯が、しっかりと植立しないことがあります。
また、口腔内にブラケットとよばれる装置をつける場合、人によっては金属アレルギーによる化学物質過敏症を起こす可能性もあります。(なお、金属アレルギーの方に配慮した、金属製以外の装置もありますので、そのような方においても医師に相談した上での歯列矯正治療は可能です。)
治療期間については、成長期に行う治療に比べ歯の移動速度が遅いため、若干治療が長引きやすいということはありますが、反面、歯やあごの成長発育がほとんどないことから歯の移動計画を立てやすいというメリットもあります。
また、歯の位置を変えるだけでは審美的回復が難しい場合は、あごの成長が終わった成人の場合、
外科手術によってあごを切って歯並びを治す外科矯正の方法をとることができます。
入院は2週間程度必要になりますが、口の中から切ることで、傷あとも残らず、極めて安全な手術です。
仕事のスケジュールの合間をぬって、決して安くはない費用をかけて歯列矯正治療に長期間通うわけですから、治療に関する不安をとりのぞくための相談がきちんとできる、診療事例の豊富な専門医(認定医・指導医)のもとで治療を行うことを、お薦めします。
日本矯正歯科学会のホームページから、お近くの「認定医」などを検索することができます。
なお、同学会の「認定医制度」についても、あわせてこちらをご覧ください。
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