歯列矯正とは何か(2)〔審美性・歯列チェック方法〕。
歯列矯正を行う目的は、大きく二つに分けられます。
ひとつは「審美性」、つまり歯並びの外見的な美しさに関わるものです。
そしてもう一つは、「不正咬合がもたらす顎口腔機能の障害から生じる疾患や、歯や身体に関わる
様々な病気を防ぐため」です。
以下、順に解説していきます。
・審美性を目的とする歯列矯正
これまで、日本においては、歯並びの悪さなどが社会的にマイナスになるといったことはあまりありませんでした。しかしながら、ここ10年ぐらいの間に、日本においても、成人の矯正治療が目に見えて
増加しています。
口元、そして歯並びが美しいことは単に外見的な見栄えだけではなく、本人の内面の自信につながる
ことが見逃せません。自分の歯並びの悪さを意識している人は、自然に口を見せたがらなくなり、
人に笑顔を見せて話すことも、だんだんと少なくなってくるものです。
そのため、就職面接や商談、社会的な会合などでも、自信無さげなマイナスの印象を与えてしまいがちなことから、自身の社会的成功にたいして、目に見えぬブレーキをかけている可能性もあります。
欧米では、歯並びの美しさが知性や教養をあらわすとされ、アメリカ、ヨーロッパでは成人前に約4割
もの人が、歯列矯正治療を受けると言われています。
特に八重歯(やえば)はあの「ドラキュラ」を想起させるとも言われ、日本のような「可愛らしい」という印象を、欧米では持たれることはまったく無く、むしろ八重歯の裏側における口内の不潔さ・口臭といった面をイメージさせるためか、気持ち悪がられることすらあるようです。
欧米への長期間に及ぶビジネス滞在や、外資系企業への就職活動を行う場合は、このようなイメージにおけるマイナス面も考慮し、いわば「自己投資」の一環として歯列矯正治療を受けようとする人も、増加してきていると言われます。
なお、歯並びが整っているかどうかの判断基準として、矯正学的には色々と細かい判断基準がありますが、ここでは、鏡などで自分の顔や歯を見て判断出来る方法をご紹介しましょう。
まず、鏡で、顔を正面から見てください。顔の中心線(正中)に、顎の先端があるのがよいとされます。
顎の先端が左右のどちらかにずれている場合は、骨格や歯並びが影響して、そうなっていることが
考えられます。
また、「上の2本の前歯の間の線」と「下の2本の前歯の間を線」を、「正中線」と呼びますが、この
「正中線」が一直線に並ぶ状態が、歯並びの良い歯列とされています。
しかしながら、「正中線」が一直線に並んでいたにせよ、「過蓋咬合」(咬み合わせが深く、下の歯が
見えないような状況)や、「叢生」(そうせい。雑然とした歯並び、八重歯もこの一種)の場合には、
全体として歯列が良いとはいえず、なんらかの治療が必要と考えられます。
次のコラムでは、歯列矯正が必要とされるもうひとつの理由について、解説します。
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