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歯列矯正とは何か(1)〔一分で理解する、歯列矯正〕。


歯列矯正治療 成人 小児


 歯列矯正とは、矯正歯科において、悪い歯並び
歯列不正)や悪い噛み合わせ(不正咬合、ふせいこうごう)
の治療を行うことにより、「適切な咬み合わせ」と「きれいな
歯並び」を、実現するものです。

ちなみに、歯並びがよいことと、噛み合わせがよいことは
必ずしも同じではないことに注意しましょう。
歯並びが乱れていても、上下の歯がきちんと噛んでいて、
しっかりと噛み合わせができる(正常咬合)人もおります。


ですので、審美的理由(きれいな歯並びの実現)だけで、歯列矯正を行う場合もごく普通にあります。


それでは、歯並びや噛み合わせは、なぜ悪くなるのでしょうか?

ひとつには、遺伝的な理由があります。

そしてもうひとつは、たとえば虫歯の治療で歯を抜いたままにしたことをきっかけとして歯並びが悪く
なってくるなどの、後天的な理由があります。


歯列矯正は、症状によって治療開始時期は異なりますが、治療を妨げるような重度の歯周病などに
かかっている場合などのいくつかの例外を除いて、健康な歯であるならば年齢に関わりなく、その
治療が可能です。


子供の歯列矯正においては、あごの成長と歯の生えかわりを利用し、矯正装置の使用による矯正を
行う場合が、多くあります。
街中で矯正装置をつけた子供を見かけることも、時々ありますね。


矯正装置は、昔は金属で大変目立ったものですが、現在は透明か白色のプラスチックやセラミックで
できているものが主で、外見的にだいぶ目立たなくなっています。
また、歯の裏側に装着する「見えない矯正装置」も、その使用が広がってきています。

一方、すでに骨も固まりあごの成長が完了している大人の場合は、矯正装置のみでは限界もある
ため、手術を併用する場合もあります。 また、「抜歯」を併せて行うこともあります。


歯列矯正の治療は、歯を動かすことでよい歯並びにする「動的矯正」と、きれいな歯並びを固定し、
後戻りせぬようその後も維持させるための「保定」という段階に、分けられます。
この「保定」は、もっぱら器械的矯正装置の使用による「器械的保定」によりますが、その期間に
ついては、症状や矯正を受けたときの年齢による個人差があります。


しかしながら、一般的には、「動的矯正」と「保定」を含めて2・3年程度は要することが多く、その後も
数週間から数ヶ月に一回とはいえ、相当な長期間、専門医の観察を受けることが必要になります。

また、「保定」が終わっても、「あと戻り」が起きぬように年に一、二回程度は自主的に定期検診を受けるのがよいとされています。


なお、治療費用については、症状によって異なることから一概にはいえませんが、原則として健康保険の適用外でもあり、数十万から百万円前後かかるケースが多いようです。
医療費控除が認められた場合は、これもケースによりますが10万円から数十万円の還付がなされる
ことになります。


見た目をよくすることを目的として行う歯列矯正は、医療費控除の対象にもなりません。
しかしながら、発育段階にある子供の成長を阻害しないために行う不正咬合を治療するためや、
明らかに病気の症状の治療などを目的として歯列矯正を行った場合の費用は、医療費控除の対象
になるとされています。


現実には、日本矯正歯科学会認定医の診断書があれば、医療費控除は問題なく認められるようです。(歯列矯正においては、日本矯正歯科学会によって、認定医・指導医・専門医といった資格認定制度が、設けられています。)


最後に、歯列矯正治療は、「○○矯正歯科クリニック」「○○矯正歯科医院」という名称を掲げている、矯正治療のみを行う専門医で受診することをお薦めしておきます。


現在、歯列矯正治療は、歯科医でありさえすればその看板を掲げることができるため、その病院が
歯列矯正に対する知識と経験がどれくらいあるかという点で余計な心配と不安を抱くことになりかね
ません。

日本全国で「矯正歯科」の看板を掲げる医院は約19,000医院程度で、そのうち上述した「日本矯正
歯科学会
による認定医」は、およそ2,000名とのことです。


以上、歯列矯正についての基本的な知識をご紹介しました。


それでは次のコラムでは、歯列矯正の目的について、詳しく見ていきます。



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歯列矯正とは何か(2)〔審美性・歯列チェック方法〕。


歯列矯正を行う目的は、大きく二つに分けられます。


ひとつは「審美性」、つまり歯並びの外見的な美しさに関わるものです。

そしてもう一つは、「不正咬合がもたらす顎口腔機能の障害から生じる疾患や、歯や身体に関わる
様々な病気を防ぐため」です。

以下、順に解説していきます。


・審美性を目的とする歯列矯正

これまで、日本においては、歯並びの悪さなどが社会的にマイナスになるといったことはあまりありませんでした。しかしながら、ここ10年ぐらいの間に、日本においても、成人の矯正治療が目に見えて
増加しています。


口元、そして歯並びが美しいことは単に外見的な見栄えだけではなく、本人の内面の自信につながる
ことが見逃せません。自分の歯並びの悪さを意識している人は、自然に口を見せたがらなくなり、
人に笑顔を見せて話すことも、だんだんと少なくなってくるものです。


そのため、就職面接や商談、社会的な会合などでも、自信無さげなマイナスの印象を与えてしまいがちなことから、自身の社会的成功にたいして、目に見えぬブレーキをかけている可能性もあります。


欧米では、歯並びの美しさが知性や教養をあらわすとされ、アメリカ、ヨーロッパでは成人前に約4割
もの人が、歯列矯正治療を受けると言われています。

特に八重歯(やえば)はあの「ドラキュラ」を想起させるとも言われ、日本のような「可愛らしい」という印象を、欧米では持たれることはまったく無く、むしろ八重歯の裏側における口内の不潔さ・口臭といった面をイメージさせるためか、気持ち悪がられることすらあるようです。


欧米への長期間に及ぶビジネス滞在や、外資系企業への就職活動を行う場合は、このようなイメージにおけるマイナス面も考慮し、いわば「自己投資」の一環として歯列矯正治療を受けようとする人も、増加してきていると言われます。


なお、歯並びが整っているかどうかの判断基準として、矯正学的には色々と細かい判断基準がありますが、ここでは、鏡などで自分の顔や歯を見て判断出来る方法をご紹介しましょう。


まず、鏡で、顔を正面から見てください。顔の中心線(正中)に、顎の先端があるのがよいとされます。
顎の先端が左右のどちらかにずれている場合は、骨格や歯並びが影響して、そうなっていることが
考えられます。


また、「上の2本の前歯の間の線」と「下の2本の前歯の間を線」を、「正中線」と呼びますが、この
正中線」が一直線に並ぶ状態が、歯並びの良い歯列とされています。


しかしながら、「正中線」が一直線に並んでいたにせよ、「過蓋咬合」(咬み合わせが深く、下の歯が
見えないような状況)や、「叢生」(そうせい。雑然とした歯並び、八重歯もこの一種)の場合には、
全体として歯列が良いとはいえず、なんらかの治療が必要と考えられます。


次のコラムでは、歯列矯正が必要とされるもうひとつの理由について、解説します。



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歯列矯正とは何か(3)〔様々な症状の防止・機能回復〕。


不正咬合を適切に治療することにより、むし歯や歯周病にもかかりにくくなります。

また、歯に関する疾患のみならず、身体全体の健康と機能維持にも、不正咬合は密接な関係があると言われています。



・不正咬合がもたらす様々な症状防止と、機能回復を目的とする歯列矯正


不正咬合
がもたらす症状として、正確な発音ができない「発音障害」、食べ物をしっかり咀嚼できないことによる「胃腸障害」、知らずに顎の関節を痛めることによる「顎関節症」、口内の清掃が行き届かないことから発生する「虫歯」・「歯周病」・「歯槽膿漏」・「口臭」に至るまで、全身の健康に様々な悪影響を与え、他の疾患の原因となる可能性があるといわれています。


歯列矯正
によって不正咬合を治療し、正常咬合を確立することで、これらの症状を解消することが可能になります。


ただし、歯列矯正がすべてを解決するわけではないことには、留意しておく必要があります。


医師によっては、これらの症状が果たして不正咬合によって引き起こされているかが判然としない、また歯列矯正によってこれらの症状が改善・治癒されるかの確証は無い、とする見解もあるようです。


不正咬合の原因の特定は難しいものの、多くは先天的・遺伝的要因によるものとされており、またその種類にも様々なものがあります。
今日では、ほとんどの不正咬合は治療することが可能となっています。


次のコラムでは、不正咬合の種類について説明します。



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歯列矯正とは何か(4)〔不正咬合の種類〕。


前述のとおり、不正咬合(ふせいこうごう)とは、歯並びや噛み合わせが悪いという状態を、総称的に指すものです。

遺伝的・先天的な理由、ないし乳児期の虫歯や指しゃぶりなどの後天的理由がその原因とされています。

一般的には、「八重歯」「出っ歯」「乱ぐい歯」などがイメージされる状態です。


審美的な問題から、多感な少年期においては、歯並びを見せたくないことから性格が内向的となったり、口数が少なくなったりするという心療上の問題も起こる可能性があります。

ちなみに欧米では、不正咬合が比較的多く見られることから、少年期までに歯並びを整えてあげることこそ親のつとめ、とされているようです。


また、成長期においては、食べ物の咀嚼がきちんとできないことからくる、栄養面・胃腸系の問題や、
虫歯の発生なども起きやすくなると言われます。


不正咬合は、具体的には、以下のような様々な種類があります。


・叢生(そうせい)

八重歯に代表される、雑然とした歯並び、乱ぐい歯を指します。
歯の大きさに比べてあごが小さい場合や、乳歯の奥歯を早い時期に失った場合に起こります。


・捻転歯(ねんてんし)

あごの中で永久歯ができる方向が悪かったり、歯がねじれて生えてきたような状態を指します。


・上顎前突(じょうがくぜんとつ)、上下顎前突(じょうかがくぜんとつ)

いわゆる出っ歯を指します。
上あごの成長が良すぎたり、指しゃぶりなどの悪習慣によって唇のまわりの筋肉の発達が悪くなって、なる場合もあります。

上顎前突は、上あごの歯だけが前に出ている状態ですが、下あごの位置に問題が無くて上あごの歯が前に出ている状態か、上あごの位置に問題が無くて下あごの歯が奥に引っ込んでいるため出っ歯
見える状態の、二種類があります。


・反対咬合(はんたいこうごう)、下顎前突(かがくぜんとつ)

上下の前歯のかぶさりが逆になっていて、下あごのほうが前に出ている噛み合わせを指します。
口もとも曲がり、あごの関節に問題がおきたり顔もゆがんできたりする恐れがあることから、早い時期の歯列矯正治療が必要される不正咬合のひとつです。


・開咬(かいこう)

奥歯の1、2本だけが噛み合い、前のほうの歯は噛み合わさらない状態を指します。
とりわけ小児・子供において、指しゃぶりや、舌を噛む癖などの悪習慣が続いた場合、奥歯でしか
噛むことができなくなります。
適切な時期に治療を始めないと、あご自体の成長にも、問題が起こってきます。


・顎変形症(がくへんけいしょう)

あごの骨自体の変形を指し、そのため歯の噛み合わせも異常になるものです。特に下あごに
多くみられます。
治療としては、あごを切る外科的な手術と、歯列矯正が必要になります。


・埋伏歯(まいふくし)

歯が生える時期を過ぎているのにかかわらず、歯が生えてこない場合を指します。
あごの骨において永久歯の芽ができる位置や方向が悪いために起こりますが、適切な時期に引っ張り出し、正常な位置へと誘導する必要があります。


・空隙歯列(くうげきしれつ)

俗にいう「すき歯」で、歯と歯の間がぴったりつかずに、すき間がたくさん残っている状態です。

 



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